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ICT教育最前線

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授業革新を後押しする企業・自治体・学校

それぞれのICT教育最前線!

2013年に発表された政府の成長戦略の中で、ITやデータを活用しイノベーションを生み出すことのできる人材の育成を推進するために、2019年までにすべての児童生徒に情報端末を配備する計画が打ち出されています。しかし、様々な現場の先生の声を聞いても、大量の情報端末を活用した新たな人材の育成、授業革新ともいえるほど新しい授業の実施に自信をもつ先生は、実はごく一部なのではないでしょうか?そこで冊子「教育応援」vol.19 2013.09号では、学校主導ならびに自治体主導で、いち早くICT教育にチャレンジした先進的な学習事例を、リバネス特派員が紹介しました。

 

ijichiwatch ~和歌山発、世界が注目するICT教育最前線~

世界トップレベルのICT教育で育みたいのは、「数値ではかれない力」

社会のIT化に沿って勢いを増すICT教育の波。総務省では、教育情報化の推進を目的として、全国の小・中・特別支援学校20校で「フューチャースクール推進事業」を実施しています。そこで今回、実施校である和歌山市立城東中学校と、海外で優秀賞を受賞するなど、小学校の事例で世界的に注目されている和歌山市教育研究所にお話を伺ってきました!

小学校での成果が、海外で優秀賞を受賞

まずは、和歌山市教育研究所に潜入です!和歌山市は、ICT の活用による子どもの基礎学力向上を図るため、2007年から全市をあげてマイクロソフト社との共同研究「W プロジェクト」を進めてきました。当初は、教員が黒板から離れて、生徒に寄り添える時間を増やす効果を期待して導入されました。その結果、予想以上の成果を次々と導いたそうです。「特に顕著なのは、レポート学習と漢字学習」と市教育研究所の岡本指導主事。「お互いの発表をみて、『色分けや、地図、写真が入って見やすくなったね』など、指摘し合いながら表現を磨き、相手(読み手・聴き手)を意識して自分の思 考をまとめられるようになりました」。また、書き順等を間違えるとアラームで教えてくれる漢字学習ソフトの活用では、未活用の学級に比べ平均点が3点上がるなどの成果も。これらの成果を2009年にマレーシアで開催された「Regional Teachers Conference」で発表したところ、150人の参加者の中から10人だけ選出される優秀賞に、岡本指導主事(当時和歌山市立雑賀小学教諭)が選ばれるという快挙を成し遂げたそうです。これらの成功事例中学校への展開を見据え、2010年から同市の城東中学校が総務省のフューチャースクール推進事業に採択されました。

中学生ならではのICT活用を模索中!

「中学校の方が授業の自由度が低いので、導入はゆっくり。やっと理科や英語を中心に電子黒板が当たり前になったところ」とにこやかに話すのは城東中学校の鈴木校長。同校では、1人1台のタブレットPCを設置し、かつグループ学習用、個別学習用にタブレットの機種を使い分けるなど、多様なツールで最適なICT教育を試みているそうです。取材時に見学させていただいた理科の授業では、電子黒板で地図上の雲の動きの動画で見せ、板書でまとめていくなど、併用することで学びを深めていました。また、自分で判断できる中学生ならではの、長期休暇中の持ち帰り使用など教育効果測定の試みが広がっているそうで、今後の成果が楽しみです。

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目指すは、知識と知識を繋げる深い思考

「ICTを使ってよかったのは、わかりやすい情報を効率よく得られて、考える時間が増えたという実感があること。それは、毎日子どもを見ていて感じるもので、数値ではかることができません」。学んだ知識をもとに、考えて、つなげていくような思考を育めれば理想的と鈴木校長は言います。「大きな可能性を持っているICT機器ですが、やみくもに導入して、既存の授業の質を落としてはいけない」。常にICTの専門家と議論しながら子どもの成長を見つめ続ける和歌山市の小さな学校から、また世界が注目するICT教育の事例が生み出されるかもしれません。

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ICT教育を積極的に取り入れた先に見えてくるもの

日本の中でもICT機器を用いた教育が特に進んでいる広尾学園中学校 高等学校で開催された、「広尾学園×iPad×ICT教育」カンファレンス2013に参加してきました。iPadやMacBookを使用した公開授業や教室運営を見学し、学校の中にこんなにも自然にICT機器が導入され自然に使われていることにとても驚かされました。今回はそんな広尾学園でのICT教育を紹介します。

驚き1:世の中には教材があふれている!?

 今回の公開授業は英語、地理、歴史、理科などの一般的な科目から、医進・サイエンスコースの研究発表まで様々な分野に渡りました。地理のテーマは「プレーリー」について。生徒たちはそれぞれがiPadを使いこなしGoogle Earthという地図アプリでアメリカ大陸を拡大し、茶色い大地にいくつもの丸い緑の畑「センターピボット」を発見しました。また、理科では「酸と塩基の水溶液中の分子平衡」をシミュレーションするために、「pHスケール(http://phet.colorado.edu/ja/)」を使っていました。英語では教科書に出てくるスキット(寸劇)を実際にチームで演じ、iPadで動画に残して自分の発音を振り返っていました。どれも既存のアプリやウェブコンテンツを使っていますが、ICT機器を活用し、教員それぞれのアイデアを付け加えることで、無限に新しい教材を作ることができるという印象を受けました。
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驚き2:クラス全員がメールやサイトでつながる!?

広尾学園ではコミュニケーションツールとしても積極的にICT機器を使用しています。生徒たちは学習の記録を用いて、自らの学習時間を自分で管理し、その状況を教員とも共有しています。またGmailを使って連絡のやり取りをしています。その中でも特に注目を引いたのはクラス内の情報を共有するために使用している「Googleサイト」です。このサイトの特徴は教員だけではなく、生徒も一緒に編集することができることです。クラス通信等で先生が発信していた内容や、各委員会の生徒が発信していた内容がまとめられ、随時更新され、誰もが自由に情報を発信し、確認することができるようになっていました。メールとサイトの積極的な活用で生徒と教員の新しいコミュニケーションが生まれています。
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驚き3:ICTは触媒!?

広尾学園では生徒や教員にとって学びや生活の新しい強力なツールとしてICT機器が浸透していますが、今まで通りの学びのスタイルも変わらずそこにありました。 最後のセミナーで聞いた「教育界にICTが導入されることで、今まで以上に教育の本質が求められる状態へと移行していく。ICTの導入はその変化の活性化エネルギーを下げる触媒としての役割を果たす。今後の教育では、現場にしかできないものがより一層突き詰められていくことになる。生徒に集中し、授業に集中し、社会のニーズを知り、教員は今こそ我々にしかできないことをやっていきましょう」という先生の言葉がとても印象的でした。カンファレンスを通して、これまでの授業を否定するのではなく、ICTを「教育の本質を捉えるもの」として使おうとする広尾学園の思いを感じました。これからどのようにICTが教育界に取り入れられるのか、期待大です!hiroo3

(「教育応援」vol.19 2013.09より)

 

ICT教育について更に読む:

ICTjinsbnr

 

>>コミュニケーションを加速させる先端技術を体験しよう!〜ICT技術を活用した情報科学実験〜(富士ゼロックス株式会社)

>>中高生のためのプログラミング・ITキャンプ「ライフイズテック」

>>ICT教育応援プロジェクト始めます!:ライフイズテック株式会社

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