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津波被災土壌および海水からの新規バイオ燃料生産藻の探索

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協和発酵キリン株式会社

高校を研究コミュニティの拠点とする新たな研究活動を通じて、次世代の研究者や産業を担う人材を育てる「東北バイオ教育プロジェクト」が2012年10月30日にスタートをきりました。参加が決定したのは、宮城県水産高等学校、岩手県立高田高等学校、福島県立新地高等学校の3校。各校とも未来の産業につながる可能性のあるユニークな研究テーマを構え、高校生が主役となって未知の研究に挑戦します。本プロジェクトは協和発酵キリン株式会社により実施されています。

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津波被災土壌および海水からの新規バイオ燃料生産藻の探索

岩手県立高田高等学校(岩手県大船渡市)理系選択者(2年生61名)

 

みんなの住むまちにいる新しい藻類を探す

東日本大震災以前、陸前高田市内に校舎を構えていた高田高校は、未曾有の規模で発生した津波により、隣の大船渡市内の仮設校舎で、新たな学校生活を営んでいます。非常に多くの方々の生活を奪い、いまもなおその爪痕を残している津波の被害ですが、津波が到達した土地には、これまで研究者たちの手が届かなかった遠洋や海底の藻類が押し流されてきた可能性があると考えられています。特に、ミドリムシやボルボックスなどの微細な藻類は、地球上の90%以上が未知の種であるといわれており、津波が到達した陸前高田の土壌では、未知の微細藻類に出会うチャンスがあるかもしれません。そんな可能性から陸前高田市の土壌から新種の藻類を探す研究をスタートさせました。

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世界を変える藻類の可能性

約27億年前に海の中で誕生した藻類は、高い光合成能が備わっているため、原始地球の大気に酸素をもたらすという偉業を成し遂げました。いまの地球の姿があるのは藻類のおかげといっても過言ではありません。酸素を作り出すだけでなく、栄養素をバランス良く含むため栄養補助食品となるミドリムシや、炭酸カルシウムの殻を形成するため二酸化炭素の固定に役立つ円石藻など、いまもなお我々の生活に多大な貢献をしています。近年では、オイルを産生する藻類が発見され、石油に変わる藻類バイオ燃料を作る研究に注目が集まっています。10月31日に実施した研究教室では、新しい機能を持つ藻類を見つけるために、まず陸前高田市内で採取した土壌を藻類培養用のプレートにまき、その後、37℃で1〜2ヶ月間培養しながら、緑色のコロニーが形成されるかを観察しています。陸前高田の土壌にはどんな藻類が棲んでいるのでしょうか?いつか高田高校の生徒の研究が世界を変える日を目指して、藻類研究を進めています。
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岩手県立高田高等学校 伊東孝浩 先生

生徒は毎日仮設校舎に移動しなければいけないという状況の中、何とか生徒の元気を取り戻し、理系進学や研究の道を志してほしいと思っています。生徒にとってはこのプロジェクトはチャンスです。学校から出かけていくことが困難な中、最新の情報や研究に触れることができるし、広いバックグラウンドを持つ研究者の経験談を聞くことが、生徒にとってとても刺激になります。一過性ではなく、未来の姿をイメージできるところにもプロジェクトの魅力を感じました。

(「教育応援」vol.16 2012.12より)
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