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藻類・細菌・昆虫をテーマにしたバイオ研究が始まる。

2013
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協和発酵キリン株式会社

人類は、文明をもった古から、醸造や発酵、作物育種の分野において生物の持つ機能を取り入れて生活を営んできました。紀元前3000年頃のメソポタミア文明では、すでにビールの醸造が行われていたという記録も残っています。それから何千年もの歳月を経て、人類はバイオテクノロジーと呼ばれる革新的な技術を手にし、今、花開きつつあります。

生物に備わっている生体機能を活用する、という考え方

1953年、ワトソンとクリックによるDNA二重螺旋構造の解明を皮切りに、DNAの生合成メカニズムの解明やDNAポリメラーゼの発見、制限酵素の発見など、世界中の研究者たちによって、生物に秘められた機能が次々と明らかにされてきました。そしてその発見を礎に、遺伝子組換え技術やDNA配列を読み取るDNAシークエンシング、特定のDNA配列だけを増幅させるPCR法などのバイオテクノロジーが生み出されてきたのです。これらの技術をもとに、生物の生体機能を解明することで、医療・食品・農業・環境などの分野において、その機能を役立てようとするバイオ研究が急速に進んでいます。

協和発酵キリンが誇る技術の1つに、バイオ医薬があります。元来生体がもつ免疫システムの主役である“抗体”は、体内に進入した細菌やウイルス、がん細胞などの抗原に特異的に結合し、排除する役割を果たしています。この抗体を産生しているB細胞と無限に増殖できる特殊な細胞(ミエローマ)を融合させることで、生体外でも無限に抗体を作り出せる画期的な技術が開発されました。これにより、抗体を主成分とした、より副作用の少ない効果的な治療薬「抗体医薬品」が誕生したのです。発酵アルコールの生産から始まった協和発酵キリンは、たゆまぬ研究により、バイオ医薬の世界に貢献してきました。

 ここまできた、バイオ研究

2003年に終了したヒトゲノム計画では10年以上をかけてヒトゲノムの全塩基配列を解析しました。さまざまな生物の塩基配列が次々に解読され、その膨大な情報の解析も、急速に発達するIT技術により、可能になってきました。超高速インターネットの普及、情報処理技術の発達、クラウドコンピューティングによるフリーアクセス化は、生物学的情報のデータベース化(『教育応援』vol.14,p.22参照)を加速させ、膨大なデータを研究に活用できる環境を実現しつつあります。さらにヒトゲノム計画終了からわずか数年後、技術の進歩によりヒトゲノム30億塩基対はたった1日で解析できるようになりました。この進歩は、IT技術の発達を上回るスピードで進んでいるといわれています。今後、バイオ研究は指数関数的に進化するでしょう。その未来に、私たちは子どもたちに何を与えられるのでしょうか。バイオ分野に精通し、クリエイティブな研究と応用ができる人材を、社会は求めているのです。協和発酵キリンは、高校とネットワークを作り、教員と協力して次代のバイオ産業を支える人材の育成を始めようと考えました。スタートする研究の対象は、藻類、細菌、昆虫。これらを対象に、独創的な研究を進める高校生を支援していきます。
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このプロジェクトを通じて、東北の未来を担う人材に育ってほしいと願っています。

 

 

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教育と研究が融合した新たな研究活動で、バイオ産業を担う次世代を育成する。

“研究”とは、ある現象の真理や原理を明らかにするために行われる知的活動のこと。結果がわからない、誰もやったことがない事象に対して、自ら仮説を立て、検証を行い、考察を導き出す。通常大学や研究所で行われているこの研究活動の真の醍醐味を高校の教育現場に取り入れ、次世代の研究者を育てようという取り組み「Research Based Education」が始まりました。

進化するバイオ分野のResearch Based Education

飛躍的に進歩を遂げているバイオ研究。その流れに相反して、日本のバイオ教育は遅れをとっています。アメリカでは、小学校の頃からDNA(遺伝子)や遺伝子組換えを学び、バイオ機器の開発やバイオ実験を楽しみながら余暇を過ごすアマチュア愛好家(バイオハッカー)なる人たちも出現しています。これからの時代を生きる日本の高校生たちは、早期からバイオ分野の研究に携わり、今後の成長産業を担う人材となることが求められています。今回のバイオ教育プロジェクトでは、藻類、細菌、昆虫を対象として、高校生が自由に研究テーマを設定し、研究計画を立て、実験を行い、結果をもとに考察を導き出していきます。それぞれ地元の大学・研究機関にいる専門家の研究指導を受けながら、まさにバイオ研究の流れを学校教育の中に生み出します。

大学や企業との共同研究も夢じゃない!?

今、日本に生息している生物種は30万種を超えるといわれていますが、その中で約21万種は我々人類が出会ったことのない未知の生物たち。バイオ研究は、まだまだ解明されていないことがたくさんある研究テーマの宝庫なのです。固定概念にとらわれない高校生の自由な発想で研究者の興味を刺激する研究テーマが生まれることでしょう。

やがて、高校生と研究者の間で自立的にコミュニケーションが生まれ、相互の研究成果をディスカッションし、研究者としての共通言語が構築されていく。高校生の考案した研究テーマに研究者が共感し、「それ面白いね!やってみよう!」と共同研究が始まるかもしれません。高校の中に研究室サテライトができたり、部活動の一環で高校生が大学の研究室で研究したり、一緒に国際学会で発表したり…、なんていうことも夢ではありません。

協和発酵キリンとリバネスは、東北の地からそんな未来を創るために東北バイオ教育プロジェクトを推進しています。

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(「教育応援 vol15 2012.9」より)

 

 

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